お仏壇の品質表示義務

公正取引マーク 4月からお仏壇の品質や産地についての表示が義務付けられました。 そこで、ぶつだん高橋のこの品質表示に対する取り組みと考え方をお話しておきます。 実はこの品質や産地の表示については15年程前に仲間を集めて「仏壇仏具維新の会」というグループを結成し業界に対し問題定義をした事がありました。当時、大前研一氏をリーダーに国に政策提言する「平成維新の会」というのがあり、その名をもじり名前をつけました。(今は橋下さんの維新が有名ですね。) なぜそんな活動をしたかと言えば1970年頃より始まったお仏壇の海外生産が年々増加し、市場に沢山海外製のお仏壇が出回るようになりました。当時まだまだ品質的にも問題がありましたが、大半のお店では海外製という告知をせず利益の取れる商品として販売していましたし、その後はさらに製造工程も複雑となり販売店でさえ正確な情報をメーカーから知らされない状況でした。つまり、お客様に対し正直な販売ではなかったのです。単純に高価な国産品かお手頃な海外品かの選択はお客様がするものです。説明がなければ当然お客様は安い方を選びます。そしてこんな状況が続けば、日本から職人が消え近い将来日本で仏壇が造れなくなってしまいます。 残念ながら、私たちの小さな声はとにかく自己の利潤だけを追い続ける業界の渦の中に消されてしまいました。 それから月日が経ちお仏壇製造の大半を海外に依存するようになった今、国産品自体が消えようとする事にようやく危機感を持った業界のリーダーの方々が国に働きかけ公正取引という枠での法整備をはじめました。そしてそれが実現し今月施行されたという事です。私利私欲の渦巻く業界で統一したルールをつくることは大変なご苦労と尽力があっての事と、とても感銘しています。 早くから生産地表示をしお客様へ情報を開示してきた当店では特に販売方法を変えることもないのですが、ごまかしのお仏壇販売をしていたお店は商売が当然やりにくくなるはずです。これはたいへん好ましいことです。 反面様々な疑問点もあります。品質表示方法についてもガイドラインが出ましたが、学者さんの学術的な分類によりこの材は「紫檀」と呼べないとかこれは「紫檀系」と呼びなさいとか、また海外産の定義はどうとか国産の定義はどうとか、すごく専門的な議論を重ねたうえに策定されたようです。 しかし、それってほんとにお客様の為に必要な情報なのでしょうか?消費者の為にすべきことが消費者不在になってないのでしょうか?お客様にその商品の内容をわかりやすく知ってもらうのが目的のはずですがこれでは余計に混乱してしまわないでしょうか? 分類を外れた材料でもいい材料は沢山あります。またその逆もしかり。木材は天然なのでとれる場所やその部位で同じ名の材でも質は大違いです。海外でも日本よりすぐれたものづくりが出来るところもあります。つまり一概に細かに決められた枠にあてはめてもそれでは品質の良し悪しは計りきれないということです。製造メーカーさんもいくら安くていい材料が入っても使いづらくなります。これもお客様にとってマイナスです。また規約をつくることは逆にごまかしの抜け道をつくることになるのでそちらも心配です。 これからほとんどの専門店が公正取引規約にそった表示を行っていくと思います。 当店でもすでに店内の商品には規約にそった品質表示表をお付けしていますが、やはり長年の経験と知識でお客様に直接説明し理解してもらうのが一番だと思っています。そして規約にとらわれず「この板目はこの材にしてはとても綺麗なところを使っているので価格以上に価値があってお買い得ですよ。」といったように常にお客様の立場に立った商品選びと販売をこころがけていきたいと思います。シンプルに自分がいいと思ったお仏壇をおすすめするということがいいのかも知れません。 おっと、当サイトの掲載商品にも品質表示をつけなくっちゃ。
category:日々の出来事  |  tags:,   |  2013.04.07

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