タブの木


お線香の製造にかかせない材料、椨(たぶ)の樹皮についてお話します。


 お線香は香木類を粉末化し、それを整形して作られます。しかし、その粒子が細かいためにそれだけではすぐに型崩れしまた燃焼の目的にも達しません。そこで線香の製造工程でこのタブの樹皮末が粘着材として加えられるのです。そして、粘りある性質の他にタブでなくてはいけないという重要な特徴があります。それは燃焼時に臭いを発しないということです。じゃまになる臭いを出すとせっかくの香木の香りが台無しです。
 ところで、タブとは聞きなれない名前ですがけっして珍しい樹木ではありません。日本国内の暖地には広い地域で自生するクスノキ科の植物で、常緑で大木になりますからどこかでご覧になったこともあるかもしれません。有名ではないけどきっちりよい仕事をする名脇役といったところでしょうか。

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