仏事でなく医療の話

いつもお店の事や仏事のことをブログでお知らせしていますが、今日は少し医療の事を書いてみます。 先日、心臓のカテーテルアブレーションという治療を受けました。これは心臓内の異常な電導回路を焼ききって遮断する手術です。 6年ほど前から二度ほど頻脈の発作(心拍数が異常に上がり戻らない状態)がおき、その時に医者からはカテーテルアブレーションという治療が有効的であることを教えられました。でも心臓を焼くなんて想像も出来なくあまりに非現実的で、また正常時は生活にはなんら支障がないこともあり「また次に起こったら考えます。」とそのままにしていました。ところが今回、よりによってお盆前のお店が一番忙しい時に再発し救急で運ばれてしまったのです。 「歳とともに発作が起こる回数も増え症状も重くなりますよ」という担当医師の言葉に背中を押され意を決して治療を受けようという事になりました。そして、お盆お彼岸の忙しい時期を終え少し落ち着いてから入院としました。 手術用のガウンに着替えて待っていてください。9時の予定時間を少し過ぎ病室へ透明の管が入った袋を持った医者が現れました。「これは間違いなく尿を出す管だ」。術後動けないので尿管を入れておく事は事前情報で知っていましたが、手術前に麻酔してからと思っていたのでまったく不意をつかれた状況です。 「はい、息を大きく吸って・・・」どう見ても入りそうにない太い透明管を無表情でグイグイ押し込んでいきます。体験された方は沢山おられると思いますが、その痛さと気持ち悪さはそうとうなものでした。(この苦痛は翌朝まで続きました。)いきなり強烈な先制攻撃を受け少しパニックになった状態で手術室に連れていかれました。途中の段差でベットがハネるたび痛さで顔が歪みます。また今回は局所麻酔ということだったので手術の様子を見れる事に少し楽しみなところもありましたが、この憎き尿管のおかげで全然そんな余裕もなくなってしまいました。 まるで死体解剖でもするように丸裸で手術台にほおりだされ、あわただしく助手の若い先生たちが体に電極を貼ったり準備をしていきます。実際にカテーテルが始まったのは9時半頃だったでしょうか。まず心臓にあらゆる刺激を与えて作為的に不整脈を誘発します。この不整脈がきっかけとなり頻脈を起こすのですが、まずどこでそれが起こっているのか見つけなければなりません。それが見つかれば次に専用のカテーテルでその細胞を焼いていきます。そしてもう一度不整脈状態にして確認します。私の場合はその工程を二回行いました。先生が「はい!OK!」と終了の合図を出し時計をみたら11時半、約二時間発作の苦しさと尿管の痛さに気を失いそうになりながらも何とか医療ドラマのようなその作業の一部始終を見ることが出来ました。 私の場合は房室結節という部位に問題があり発作の原因となっていたようです。この房室結節は心房と心室の間にある部分小さな心筋細胞で心拍のリズムを心臓全体に送る役割の一部を担ってるそうです。握りこぶし程の心臓の中にあるミクロの世界をカテーテルを使って治療するのですからほんとに凄い医療技術です。ミリ単位でカテーテルを動かしていくそうで、焼いてはいけない正常な回路とのすき間は約1㎝程度しかないというのですからその技術も大したものです。後で先生から聞いた話ですがこの技術はイスラエルの医療技術で軍事技術を応用しているそうです。携帯電話もそうですが最先端技術の開発は常に軍事開発の貢献が大きく、カテーテルアブレーションもアメリカ軍のドローン(無人戦闘機)がピンポインで空爆する技術の応用らしいです。アメリカの無人機攻撃に否定的でしたが皮肉にもその恩恵を受けてしまいました。 普段は仏教とか伝統とか普遍的なものに携わる生活、それとは真逆の最先端医療を体験することとなりました。そんな中でも手術が無事終わるよう仏に祈りその成功を先祖のお陰と感謝していることを加えて仏壇屋らしいブログの終わりにしておきます。 下が記念にもらったその画像です。(緑が問題の箇所、まわりの白い点が焼いたところ、黄色の正常回路まで約1㎝) 2015-10-03 10.08.51
category:日々の出来事  |  tags:  |  2015.10.05

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